第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
「ホレ、ホレホレホレィ!」
トンファー男はボスの攻撃を抑えながら、腕を文字通り千切っては投げ…を繰り返していた
投げる度ボスに背を向けているにも拘わらず、ボスの攻撃を防いでいる
凄まじい技だが…腹立たしい
そしてそれは私だけの感覚ではない
「おまっ、何してんだ!?」
「正直、邪魔」
ケンタ、エリーと連続で投げ掛けられた疑問と糾弾にトンファー男はカラカラと笑う―しかし、邪魔は止めない
「アンタ…何のつもりで邪魔なんか―」
「簡単じゃねぇかよ」
我慢ならず、剣を振りながら喋った私の言に彼は素早く切り返した
「邪魔なんだよ。アレに来られたら萎えるっての」
その余りに単純かつ明解で不可解な答えに閉口してしまう
何故…コイツはこんなにおかしい?
逆に疑問が湧く程であった
「ってか何だよ。お前等その程度も分かんねぇ訳?…あぁ、馬鹿なんだな!」
自分の感覚がさも常識であると言わんばかりの口調に更にイライラが募り―限界を越えた
「…ざっ、けんな!!」
八つ当たりのようにボスに剣が振り下ろされる
それは斬る、ではなく叩き付けるに等しいもの―勢いが強かったのか、床を抉り瓦礫を舞わせる
「馬鹿は…そっちでしょ!!」
言いながら、もう一度下方より斬り上げる
ブースト、武器スキルを伴った一撃は無理矢理に等しかったが、ボスを少しだけ浮かせた