第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
扉の先、入った景色は暗く、明かりは上空に照り輝く満月しかなかった
今度は…どういう所だ?
軽く周りを見回すと建物が見える、がどれも低い
今私達のいる建物―更に言うならここは屋上だ―は他より少し高さのある建物という事か
(建物の…屋上…)
それを理解したと同時に違和感を感じる
何だか…人が詰まっていないか?
私達が前に出ていないせいかとも思ったが違う
更に見ると、その理由を理解した
(ここ、狭いんだ…)
現状約50人
今までは丁度良かった人数に、初めてやり辛さを感じる
前回は道が出来ていたのもあるが、コンテナ分を除けば充分だったし崖も同じだった
しかし今度は、そもそものステージが狭い
故に逃げるスペースも戦うスペースもあまり無い
この状況で戦えと言うのか
嫌な場所だ―そう思った時、私達の前方から湿った音が響く
武器を構え、音の方を注視―前には屋上にありがちな名ばかりの小さな塀と、夜の空間があるだけ
そこに突如、掌が見える
登ろうとするかのように塀を掴んでいる―しかも、一つや二つじゃない
三つ四つ…いやもっと沢山、十以上あるかもしれない
腕とか手の化け物かと感じた時、違うものが目に入る
ゆっくりと空間を登ってくるのは…仮面
青くて、顔全体を覆えそうなそれはフィールドモンスターも着けていたと記憶している
それはゆらり塀を登りきると、床に落ちるようにして着地した