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SAOGs

第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"


彼は勢いをそのままに正面に跳躍し、自身のトンファーで大扉を殴った
唐突に行われる謎の行動に私達は皆、唖然としてしまう
殴っただけで大扉がどうにかなる訳でもなく、彼は何事も無かったかのように着地し―また行動を開始したのである

「…開けよ。開けよコラ、開け!!」

叫びながら、扉を蹴っては殴り蹴っては殴る
しかし扉は開かない―あの扉は前もそうだったが、しっかり「押す」という事をしないと開かない
蹴破ったり破壊したりは出来ない仕様だ

暫くして彼もそれに気付いたのか思い出したのか、扉に対する攻撃動作を辞めた
いや、正確には扉の絵を漸く見出した為に攻撃動作を辞めたと言った方が正しいかもしれない

また暫く絵を見ていたが、何かを納得したかの様な顔をし―

「ほぅ…魔術師か」

一言ポツリと漏らして、気が変わったのか帰ろうと振り向いた

この時私は彼だと認識した瞬間に、全員を連れて全力で帰れば良かったと後悔する
彼は何度も言うが、私の中では関わり合いになりたくないプレイヤーである
という事は関わり合いになれば面倒以外の何物でもなく、だからこそさっさと帰りたかったのだが、彼の突飛過ぎる行動に唖然としてしまった故に行動が遅れ―彼と目が合ってしまう

「あ…お前……あぁ、ちょっと面白い白っちゃけ女か」

私を指差しながら、玩具を見付けたかのように口を開いた
私の事をしっかり覚えてやがる、最悪だ

私が頭を抱えたい気分なのも関係無く、彼は突然トンファーを構えた

「お前、この前のアレ見せろ」

「…は?」

何を言っている?
この前のアレって…まさか…第六層ボス戦の…
嫌なものを思い出させられ、更に嫌な気分になるのも拘わらず、彼は更に続けた

「なぁ、なぁどうすんだ?どうすりゃ良いんだ?腕吹っ飛ばせば良いのか?足か?首か?頭か?…それとも目玉抉れば良いのか?腹掻っ捌けばアレになってくれるか?」
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