第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
「……ナニコレ?」
ケンタがそうボヤく
私もそのボヤきとは全く同じで、どうリアクションを取れば良いからなかった
何だこれは?何を意味している?
火と手の関係性は?目の意義は?何で「∞」が描かれている?「Ⅰ」はアルファベットかローマ数字かどっちなんだ?
疑問が頭を渦巻く
これはヒントなのかどうかすら怪しくなってきた
精々火が関わる程度にしか分からない
それ以外の情報―ステージに関しても、ボスの姿や名前に関しても、何もない
(…これ…どうしろと?)
前回よりも分からない
これはまさか芸術作品に込められた意図云々を読み取れというアレだろうか
ここまで来て、そういう真似をしろと言うのか?
だが、この扉に対して何が出来る訳でもない
出来る事はこれがあったと伝達する事
仕方もないので、この絵を記憶して帰ろうと、来た道へ向きを変えた時―遠くに人影を見付けた
人、という事はプレイヤーだ
しかし妙である―影が少ない
最近は多くのプレイヤーが三人以上の徒党を組むようになり、一人や二人というのは少なくなった筈だが…近付いてくる影―走っているのか?―それはどう見ても一人だった
一人…本当にそうだろうか?
いや待て、今だに一人で行動するプレイヤーがいるじゃないか―「テスター」という種類のプレイヤーが
(なら…アレは…)
考えを巡らせた時、その影が自己紹介をした
「どけやお前らああぁぁぁぁ!!」
トンファー男
私の知る中で、最も関わり合いになりたくないプレイヤーだった