第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
迷宮区を少しずつ進む
時折、襲い掛かる敵を排除しながら先へ、先へ―
そして、辿り着いた場所は最奥
九層ボス部屋に繋がる大扉である
色々あったが、とりあえずここまで辿り着いた
この扉にも絵が描かれている
そう、これだ―これを見る為に私達は来たのだ
第七層から描かれるようになった絵―これの存在を一度はキチンと見ておこう、という目的の元で私達は今ここにいる
別段絵の存在を信じていない訳ではない、がボス戦直前にちらと見える程度では、実際の絵が気になってしまうし、何より目標地点としては丁度良い
ここまで来て戻れば、そこそこ力も得られる
他のプレイヤーへの情報にもなるし、自分達が死なぬよう気を付けるという前提さえ守れれば、この一往復だけで随分と見返りがある
薄暗い中、扉を見上げると絵―それも高いクオリティだ
一種の芸術のようにも感じられる
だが、これはあくまでボス―敵のヒント、情報なのだ
読み取れるものを読み取り、姿やステージの様相、能力に繋がりそうなものを見付けなければ…そう感じながら、注意深く見ているが…
正直分からない
第八層とは違ってキチンとした絵だ…先も感じたが、一種の芸術とも捉えられる
しかし、これは何だろうか
目の前には縦長の絵―上を向いた手、それも両手が火を器のように受けている
そんな図が最初に目に入る
薄暗くて良く見えないが、目を凝らせば周りも見えてきた
最初に見えた火―その上に目玉のような絵が一対、更に上には無限の印である「∞」
そしてそれらの下には「Ⅰ」
それが絵の全容だった