第8章 第1層~第10層 その7 "一区切り"
ケンタが下げられた直後、歩きながらユウが口を開いた
「小さい頃からの腐れ縁なだけだよ。君達が秘かに期待しているようなものじゃないから安心してくれ」
この発言を助けと捉えたのかミヤは指を指しながら続けた
「そ、そう!そうそうそう、それそれ!ただの腐れ縁、ただの幼馴染み、そういう事だからAre you all right!?」
そうミヤはまくし立てながら、珍妙なポーズ付きで指を私達とエリーに向けた
逆にこんな勢いで来られるとは思ってなかった私は唖然とし、エリーは「おーらい。」と続け、ユウは溜め息を吐いていた
報われないのは、ケンタだけだった
「いやぁ、皆若いね」
「お前若者だろ」
部長とシンジ先輩による漫才を耳にしながら、進んだ先―終点のような壁と大きなクリスタルが目に入る
なるほど、現在のエリアはこれで終了か
という事は…次は別のエリアか迷宮区か
どちらであってもとりあえず進もう
そう決めた私達は迷わずクリスタルに触れ、転移をする
光に包まれた視界が色を取り戻し、次に捉えた色は薄暗く、最早見慣れた迷宮区のものだった