第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"
私達を含め、それを見ていた全員が言葉無く今や何も無い空間を見つめていた
カミナ以来の死者、それも一部隊丸々死んだ
奈落に落ちたという理由で
届かなかった私の手が今だ空に伸びているが、掴めるものは無く、ただ雨に打たれるだけだった
箱が無い分外の雨は強く、それが私に届かなかったという事実を認識させる
不意に私の後ろに大きな衝撃
「来たぞ!」という声やらがそこかしこから響いた時、私の背中にべとついたものが、重力エネルギーを伴って垂れる
ゆっくり振り返った先には―ボス
相変わらず醜悪に佇み、涎を口から垂れ流している
その姿を見た時点が私の限界点―いや、限界を越えた
「ざけんなぁぁ!!」
力任せに、怒り任せにボスの腹を斬り裂く
斬られたボスは相変わらず粘液を吹き出しているが知ったことでは無い
私の頭は怒りで沸いていた
こんな糞みたいな奴に彼等が殺された、そして私が届かなかった
その二つが私を駆り立てていた
「おおぉぉぉ!!」
戦術もスキルも考えず、ただ全身を使ってボスを斬り続ける
故に私はボスの行動を見ていない
恐らく普通に繰り出された左腕の鞭が私を叩き付け、私を吹き飛ばす
だから何だと言うのだ―受け身を取って立ち上がり、もう一度ボスを見る
コイツを殺す―その一念を持って