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SAOGs

第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"


同時にボスに変化が起こる
少し悶えたかと思った次の時には、人間の体を成している部分の背中に相当する辺りが裂け、そこから新たな部位が生えてきたのである

新たに生えたと言っても醜悪そのものは変わらない
それどころか醜悪さは増すばかりだ
背中に生えた部分が巨大な顎の様な牙と口を設けたが、私は構わずボスへ向かう

殺す、殺す、殺す―怒りと共に沸いた殺意のままボスへ近付く
しかし、そういう一念で動いていた場合往々にして、あからさまな部分を失念する
例えばそうだ―地を這うかのように繰り出された左腕の鞭を正面に跳躍して避けたとしても、次に来る動作まで考えておらず、目に入っていない
剣を突き立ててボスを殺すしか考えていないから、新たに生えた背中の顎が迫るのを直前で知り、命の危機を漸く悟る

どうすべきかの一瞬の判断すら焦りから出来ず、無防備に突っ込んだだけになった私に迫る顎
斬るか喰われるか―その覚悟かと感じた時、黒い影が間に割って入り顎を弾いた

人…いや剣だ
身の丈はあろうかという大きな剣により、私の目の前にあった危機はとりあえず取り除かれ、勢いをぶつける先を無くした私はボスの後ろ側に着地する事ととなった

振り返った先―ボスの向こうに先程の剣
そしてそれを扱う、バンダナの男
テスターの両手剣男であった



ボスが今度は両手剣男に左腕の鞭を振るう
しかし、彼は何も言わずに身体を少し反らしただけで避ける
そして彼は改めて自身の剣を構え―武器スキルを伴わせ、上から斬った

むしろ叩き付けたとも言えるその攻撃には、所謂剣圧と呼ばれそうな衝撃を伴っており、ボスを真っ直ぐ吹き飛ばした
そう、真っ直ぐ―私の方へ
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