第7章 第1層~第10層 その6 "Once More"
私達のやった"徹底的に壁ハメする戦術"が良しとされたらしく、その後の部隊にも多用され戦闘そのものは有利に進んだ
ボスの気色悪さや粘液にパニックを起こしていたミヤも、暫く戦闘から離れていた事もありとりあえず落ち着いてきた
しかし、先のアレの後で大丈夫かと言われれば間違いなくNoである
故に私達は、とりあえず今はユウとミヤを後ろに回して、壁ハメを使いつつボスに挑もう…という戦術に落ち着いた
そうして二順目―
最初の部隊が戦っている時にそれは起きた
突如、箱が下にズレたのである
ボスが現れた時と同じような揺れが起き、視界に普段は出ない時間が表示される
"残り3:30―"
直後、時間が一秒ずつ減る
クレーンに吊るされたステージ、下は奈落、そして残り時間
頭に浮かべた要素を足した結果、出た答えは一つ―時間以内に終わらなければ、全員落ちて死ぬ
これ…ヤバい奴だ…
「嘘だろどうすんだよ!?」
ケンタを始め、察した様々なプレイヤーが絶望的な声を上げる
確かにステージそのものが消える機構など誰も予測していないし、信じたくはない
「…10秒待ってて」
唐突にそう言ったのはエリー
左手のチャクラムを真上に射出し跳躍、コンテナの上に立った
そのまま周囲を見回して、キッカリ10秒で帰ってきた
「あっちは落ちてない」
そう言って指差した先はボスとは反対―本来進む筈だった方だ