第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
製作者―つまりはゲームマスターの登場である
流石にこんな事態になったのだから当然か…と考えるのはまさか甘いのではないか
そんな風に感じるような粘着質の声が蛇から溢れる
これが地声ならば、相等珍妙な人物なのではないか
正直、聞いていてウザい
「この度は諸君等の、このヴェヴェルスブルク・オンラインの起動に対して誠に感謝をしている。最大の謝辞を送りたい」
喋り方も中々面倒臭い
社交辞令にしても、感謝の感覚を全く得られない
そう感じるのは現在の状況もまた一つ、要因があるのではないだろうか
「さて、現在諸君等はメニューよりログアウトの項目が消失し、困り果てている所だろう。だが安堵されよ。これは決して本ゲームに生じた歪み…諸君等がバグと呼ぶそれでは、無い」
「え……」
何と…言っ…た…?
「呆気に取られ思考を停止した者の為に、もう一度言わせて貰おう。メニューよりログアウト項目が消失したのは決して何らかの異状ではない。重ねて言うならば、この状況は私が引き起こしたものだ」