第7章 第1層～第10層 その6 "Once More"

その後―
私達は第八層のボス部屋が発見された事を知り､八回目となるボス戦に参加した

個人的には､この層をさっさと越えてしまいたかったのでまさに渡りに船であった
これからボスに挑むというのに､こんな事を考えるとは…やはりこれまでの七回中七回の参加で慣れが出てきたのかもしれない

しかし油断は禁物である
試作版時のデータは既に無い訳だし､実際苛烈さを増している
下手をすれば死んでしまうというのに､慣れたかも…と思うという事は､実際に強さを増しているか単なる傲慢かのどちらかだ

勿論全力でボスに挑む
でなければ､私が死ぬか誰かが死ぬ
そのどちらも御免だ
だから油断も楽観も出来ない


第七層と同じく､この第八層にもボス部屋へ繋がる大扉にはヒントが描かれていた
どうやら､ヒントはまだまだ続くらしい
いつまで続くかは分からないが､これはこれでありがたい
尤もそれは､ヒントがあるという事に対してであって､"分かりやすい"ヒントである事には当てはまらなかった

今回描かれていたのは前回と違って全く訳が分からないものだった
四角い枠の中にアルファベットの｢U｣―これが横に全部で三つ並んでいる
会議の時に出された時から誰もこれに答えを出せていない
いや､答えを知るにはボスと戦うしかないのだが…ボスの姿とか､ステージの様子とか､第七層時に描かれていたようなものを期待していた私達からしてみたら､呆然とする他無いものであった

ここはもう諦めるしかない
情報は頼りになるが､どうもそればかりを頼りにしてきた傾向がある
多少危険だが､何も知らない方が余計な先入観無しに戦える
どちらも一長一短だが…今はこれでやるしかない