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SAOGs

第6章 第1層~第10層 その5 "天才"


矢、そして彼女の腕が光を帯びる
エリーの視線の先はただ一つ―正八面体のボスのみ
彼女の視界には、矢じりの先とボスが入っており、それが合う瞬間をじっと待っていた

如何に彼女に才があろうと、空間をねじ曲げるとかそういう真似は出来ない
だからじっと、落ち着いた呼吸のまま自身の感覚の中に存在する照準を合わせる

長距離狙撃は撃ち出される弾丸―今は矢だが―発射時に少しでもズレると目標に到達する時には、凄まじいズレとなる
故に完璧に合わせる必要があるのだ
少しの手振れも許されない

彼女視界の先のボスはまだ近くの地上にビームを撃っているだけで、こちらには気付いていない
逸る気持ちはあまりないが、彼女としては今最も危険に晒されている人々を考えてしまう
それすら抑えなくては…恐らく撃てない


構えながら深呼吸―
今度こそ、思考を自分の目的一点にする
狙いが少しずつ合ってきた
もうすぐ…もうすぐ…まだだ逸るな…もうすぐ…
そして自身の照準が合う直前―ボスのこちらを向いた頂点が光る

「っ!!」

ユウ達盾部隊が出来るだけの最大の武器スキルを用い、ビームを防ぐ
この事態にもエリーは揺らがない
顔色一つ変えず、光に包まれる前方をもう一度探る
しかし、この状況ではやはり分からない
更にビームを防いだ風圧で手先がブレる

耐えろ…耐えろ…と自分に言い聞かせる
これを越えた先、この攻撃を耐えた先に勝機がある
それを信じるからこそ、彼等はこの攻撃に耐え、彼女は落ち着きを失わずにいられる



そうして何秒経ったか―ボスのビームが消え、視界がクリアになる
そこに彼女は絶対的な一点―勝機を―見付け、合わせ―

「―――!」

自分を信じた信に応える一矢を放った
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