第6章 第1層~第10層 その5 "天才"
ビルの屋上にエリーは着いた
彼女と共にヨーコとユウ、そしてシモン側からも盾持ちのプレイヤーが数名、同じ場に集う事となった
遠くには今だに正八面体のボスが浮遊している
狙うはただ一つ、あのボスを一撃の元に屠る事
それ以外存在しない
さてそろそろ…とエリーが感じた時、事態が先に動いた
ボスのビームが発射されているのである
しかし、それはエリー達の所には撃たれていない
もっとボスの近くに着弾している
という事は…
(リリィ…?)
彼女が戦っているのだろうか
恐らく彼女だけではない…他のプレイヤー達も同じだ
まさか、本来最も危険な位置にいる筈の自分を少しでも安全にしようと奮闘しているのだろうか
エリーはボスを狙撃する
しかし、カウンターが恐ろしい
ならば自分達は見てるだけではなく、祈るだけではなく、全力を出そうと
可能性は全て試すと…そういう事らしい
一見お節介かもしれないが、エリーは何故か嬉しくなる自分がいた
皆がそう動くのなら、自分のそれに最高の形を達成する事で応えたい
そう思うと気合が湧いてくる
この気持ちのまま、始める事を選択した
「…じゃあ、始める」
ユウを始めとした盾部隊が自分の前に並ぶ
後ろには、ヨーコ
無言のまま、エリーはゆっくりと構える
ここからは天才の御技―その一つを彼女自身で現すのである