第6章 第1層~第10層 その5 "天才"
「倒す方法…ある」
ややあって、エリーが口を開いた
これまでの事を思い出すと、珍しいと言われそうな事だが、これは力を惜しまないという彼女の変化なのだろう
部長に促されたエリーが更に続けた
「ボスが積極的に攻撃しない位置から私が狙撃する。それだけ」
つまり…エリーが長距離狙撃をする、という事なのか
「だとするなら、問題点はカウンターを受けた時だな」
シンジ先輩の言に皆、悩みに黙ってしまう
仮にボスを現状から一撃で倒せなかった場合、そこがいくら積極的に攻撃しない位置でも確実にカウンターを放ってくる
それこそ一撃で倒せれば何も問題はないが…
「じゃあ、僕が全力で防ぐ。これで良いよね?」
ややあって、ユウが口を開いた
ユウの意図―カウンターが来たら盾の武器スキルで攻撃を防ぐ―何と危険な真似だろうか
しかし、現状では…それしかない気がする
結局他に案が出る事は無く、危険であるが私達はその案を採用した
ならば早速行動に移そう
目標地点はここから三区画先のビルの屋上、という時―
「待ちなさい」
声が私達を止める
その方向を見ると、以前私達を助けたヨーコがいたのである