第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
「さて、今日はそろそろ終わりにしよう」
やっとである
口には出さないが、正直終わりにして寝たい所だった
軽く腕を振ってメニューを呼び出す
ナーヴギアを使用するゲームの共通仕様だ
WBOでは装備、道具の確認やメッセージの送受信、オプションの変更等がある
そして、所謂オンラインゲームであるWBOを終了するにはログアウトが必要で―
「あれ?」
ログアウトの項目が無い
阿呆らしい声を上げてしまったが、確かに無い
上から下までメニューを見ても、ログアウトが無い
周りをちらと見ると、一緒にいた六人―コンピューター部部員も不思議そうな顔をしている
「ミヤ、ちょっとメニュー見せて」
半分無理矢理に脇からミヤのメニューを見る
やはり、ログアウトが無い
バグか何かだろうか
何はともあれ、大問題だ
「とりあえず…ちょっと待ちます?」
ユウの一言には賛成だ
そして、周りも賛同する
このまま、待てば事態は収束する
だが、それな甘い考えであった
直後、私達は青白い光に包まれた
突然の事態故、何が起きたかも分からぬままに私の視界が光によって白くかき消される
これもまたバグか、それとも何らかのイベントか…
何が起きていて、何が始まるのか、それさえ知らぬまま何処かへ連れていかれる感覚が、私を支配した