第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
それから数時間―
部長を中心に戦い方をレクチャー
私達は一応、戦う事を覚えた
意外にも激しい実戦講義で、経験の無い私には中々疲れる作業でもあった
そのついでに幾らかレベルが上がったが、現在の疲労感から考えると簡単に喜べない
何らかの達成感があるなら良いが、残念ながらレベルとスキルが少しだけなので余り達成感も無い
「いやぁ、お疲れ」
本当にそうである
慣れれば今の部長程になるのだろうが、今の私には数時間の戦闘がやっとである
落ちかけの日が、更に疲労感を増す
「そう言えばキョウヤ」
既に息が整っているシンジ先輩が思い出したかのように、口を開いた
「最終的に何をすれば良いんだ?」
そう言えばそうだ
今日やった分だけを考えると、終わりの無いやり込みだけのゲームとなる
それはそれで構わないが、後々ダレてしまいそうだ
目標があるのか無いのか、それでやる気がかなり変わるだろう
そんな疑問に対して、部長が口を開く
「このゲームな、実はここを含めて100の層があるんだ。で、100層にいるボスを倒せばゲームクリアになる…まぁ、そこまでが大変なんだけどね」
その為に…と続けて部長が見た先には、巨大な塔があった
東京にある、電波塔としては最大の塔よりも巨大な円柱
かなり距離が離れているであろう、現在位置でもその白い壁に何らかの意匠が彫られているのが見える
「上の層に行くには、あの塔―迷宮区って言うんだけど、あそこの上階にいるボスを倒す必要がある…それもまた大変なんだけどね」
なるほど
つまりは―
「大変さしかないと…」
この私のボヤきが、本物になるとは考えてはいなかった