• テキストサイズ

SAOGs

第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"


尚もリリィは絶叫を上げながらボスを斬り裂いていく
彼女の行動に巻き込まれる事を恐れた周囲のプレイヤーは最早彼女の好きにさせていた
唯一並び立っているのは、トンファー使いの少年だけ

「ハハハハ!アハハハハハハ!!」

こちらはこれでもかと笑いながらボスを殴っている
ついさっき自分に"ケダモノ"と言った本人が今まさに"ケダモノ"となっている事実、そしてその強さに彼は心の底から楽しんでいた

当の彼女は斬撃と移動速度を更に上昇させながらボスの腕を、脚を、腹を、背中を次々と斬り裂く
徐々に徐々に上がる彼女の速度は、次第に少しずつ…少しずつボスを上回り、確実に先手を取るようになった
いや、もうボスは後手にしか回れていない

この事実を一早く見抜いた少年は直接の戦闘から離脱、観察する事にした
彼の頭の中は自分の獲物を盗られる事よりも、より"ケダモノ"として進化する彼女の暴れっぷりを見る方に重きを置いた

出された拳や蹴り、剣の挙動よりも彼女は早く動き、移動先の手近な部分を最低一度、多くて三度程斬っている
その対応に回れば、既にいた場所にはおらず手近な移動先に動かれている
これでは絶対に勝てないだろう
そう、彼女が生きる為絶対に勝つ戦いへと変貌する

決着は近い


当たらない反撃として出されたボスの両手剣は地に刺さった
最早違いも分からないか、降り立った剣すら攻撃する彼女

「ああぁぁぁぁぁ!!」

そのまま両手剣と腕を伝い跳躍―先はボスの顔の前

「うぅぅぅぅぅぅ!!」

勢いのままボスの眉間に彼女の片手剣を刺す
汚い叫びをボスは上げるが、それは彼女にも言えるだろう
彼女は重力任せに剣を押し込む
後ろからでは彼女の表情は分からないが、きっと凄絶そのものであろう

「死ぃぃ…ねえぇぇぇぇぇ!!」

そして、初めての意味を持った叫びと共に彼女はボスの眉間に刺さった剣を蹴り込む
ボスの頭を貫通した剣は地面に刺さり、甲高い音を響かせた

そしてボスは先の汚い声で断末魔を上げ、砕け散った
/ 739ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp