第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
ボスの両手剣が重く私に迫る
しかし、私は負けられない
必死に剣を抑える私をトンファー男は一瞥しただけで興味無さげに口を開いた
「邪魔だ、お人好しやってんなら死ぬぞ」
言葉自体は彼にしては珍しい警告のように聞こえるが、彼は私が邪魔である一念で言っているのだろう
増々気に入らない
故に私はこの問答に毅然と返さなくてはならない
「そう…でもね!誰かが死んで、私だけが生きてるなんてのは…アンタよりも気に入らないんだぁ!!」
徐々に押し返せているボスの両手剣
このまま押せば…勝てる…
相変わらず興味無さげな彼は「そうかい」と短く口を開いた後、ニヤついた顔で私に指を指した
「でもお前…それだけじゃ無理だ」
何を言っている―と思った瞬間、状況が動いた
今まで私が押せていた筈のボス両手剣が一気に私の剣を跳ね上げた
当然私は力の行き場を失い、体勢を崩す
目の前には光を纏ったボスの両手剣
「だから今言ったろ。無理だってよ」
トンファー男の相変わらず気に入らない一言を最後に、私は後ろへ吹き飛んだ