第5章 第1層～第10層 その4 "ここまで"

二対一､エリーを入れるなら三対一であるにも関わらずトンファー男は体勢を崩していない
今は敵わない､でも抑えるくらいなら―

｢ケン､来るよ!｣

｢リィちゃん!｣

ミヤ､ユウが遠くから私達を呼ぶ
目線を動かすとボスが両手剣を振りかぶっている
しかも､光を纏わせ武器スキルをぶつける気だ
軽く舌打ちを漏らしながら､ケンタが後ろに跳躍―同時に私の剣を抑えているトンファーを蹴り､後ろへ跳躍

直後､巨大な両手剣が残されたトンファー男にのしかかった



潰れた､と思った
変な奴だったが､最期は呆気なかった
しかし､一応悼むべきか―と考えたのは間違いであった

今､両手剣がある地点から小さく声が聞こえる
あのトンファー男は､まだ生きているようだ

｢あぁあぁ悪かったよ。グチグチ言った割にゃ俺が見てなかったな……そらお前もつまんねぇよな…｣

しかもボスの両手剣を押し上げている
それはゆっくり､少しずつであるがそれ故彼のパワーを物語っている

｢いいぜ…今度こそ､お互い楽しもうじゃねぇかぁ!!｣

そのまま力任せに両手剣を跳ね上げ､両手剣を武器スキルで殴る
更に今の攻撃で出来上がったボスの正面の空間へ跳躍―腹へ更なる打撃を連続で撃ち込んでいく

何なのか一瞬分からなかったが､どうやら彼は方針を変えたらしい
つまり､もうボスにしか構わない―そういう事なのだろう