第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
「クソがお前ら邪魔しやがって!!真っ向じゃねぇ楽しくねぇだろうが!!!」
罵声と共に軽く跳んだトンファー男は、力任せにボスの腹を蹴飛ばした
直前に怯んだ事もあり、体勢を崩したボスは無理矢理に身体を動かす
ミヤが軽く跳び、急いで離脱するがこちらも無理矢理な体勢―着地が危うい所であったが…
「…っと、彼も全く無茶苦茶だね」
着点予測を的確に行ったユウが綺麗にミヤを受け止めた
「あ、ありがと…」
普段なら余り無いこと故か、少し顔を赤くしながら小さく感謝を述べるミヤを背に構わずボスに向かうユウ
直後、彼等に剣が振り下ろされるがその可能性も事前に考えていたユウにより防がれた
「全く…照れてる場合じゃないでしょ。攻撃範囲外に離脱するよ」
「……悪うござんした!」
あくまでも冷静なユウに対して、ミヤは半ギレな答えをしつつ範囲外に離脱
「俺がダルマにするっつってんだろ!!」
トンファー男が一瞬でも自分から離れたターゲットを取り戻そうとボスの腹をもう一度攻撃―この間にユウが範囲外に離脱
ボスはターゲットをトンファー男に戻したが、また体勢を後ろに崩す
その先には部長、ケンタそして私の三人
「誘導ありがとう、お陰でやりやすくなった」
部長が倒れてくるボスの背中へ武器スキルを当てる
「背中だけだと思うなよ!」
この間に下に潜り込んだケンタが両足に回転しながら武器スキルを叩き込み更に怯ませる
そして私は―低く構えていた
どうやら私にとって鎌鼬を放つにはこの体勢が良いようで、とりあえず現状はこの体勢で放つ事にしていた
ただし今回は―
(前よりももっと…力に傾ける…!)
前よりも質量を、前よりも風圧を、前よりも力を込めて
「はあぁっ!!」
放たれた鎌鼬は、後ろに傾いていた筈のボスをもう一度前に傾ける程の威力を誇っていた