第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
「彼には申し訳無いけど、彼を囮にして脇からボスを攻める。ボスの攻撃と彼のボス誘導に気を付けていけば何とかなる筈だ」
なるほど、あの変人はどうしようもないがボスはどうにかしなくてはならない
ならせめて、あの変人には囮として役立ってもらおうという訳か
本来なら危険な案の筈なのに何故か全員一致でこの案は可決された
「二組に別れて左右から攻める。エリー、遠くから援護、頼むよ」
「了解」
この一言を皮切りに私達は改めてスタート
右翼に私、ミヤ、ユウ
左翼にシンジ先輩、部長、ケンタ
そして後方にエリー
この三方からの攻撃、そしてトンファー男という私達からしてみれば囮の計四つ
これを全部捌ける奴はそうそういない
それを確信し、始めに右翼は私とミヤが、左翼はシンジ先輩が脚力ブーストで加速する
互いに狙うは脇腹―勢いを付けたまま軽く跳び、私は背中へ、シンジ先輩は正面へ―狙い通りの位置を武器スキルをかけて切り裂いていく
続いたミヤがすかさず、私が入れた傷口に短剣を刺す
深く刺さってはいるが、ボスはそれ程怯んではいない
むしろトンファー男が私達を睨んだ―そっちの方が問題で―
「邪魔すんじゃねぇよ!!」
案の定キレ気味の声が武器スキルで無理矢理ボスの腕の向きを変えさせる
先にはシンジ先輩―しかし問題は無い
「………」
無言のエリーがボスの腕に一撃を与える
一瞬怯んだ隙にシンジ先輩が離脱
一応の安全圏だ