第2章 第1層~第10層 その1 "旅の始まり"
初めて持つ武器をカチャカチャ言わせながら、街の外へ
「ここからは街の外、通称"圏外"だ。圏外だと敵にしろ、プレイヤーにしろ、あらゆる攻撃行動が自分のダメージとなる可能性がある。だから、大事な事は自分の身を守れる事だよ」
流れ弾に注意しろ
なるほど、そういう事か
いくらゲームとはいえ、ゲームオーバーでどうこうというのは気分的に宜しくない
だから、そうならないように危機管理をしろと
「さぁ、外にでよう」
槍を背負った部長に着いていき、街と外を分ける門を潜る
目の前には草原
それも端が分からないくらいに広い
そよ風に揺られ太陽に照らされる姿は、爽やかな美しさを見出だす事が出来る
「………」
声が出なかった
私達の知る世界に、こんな場所はまず無いだろう
「すっご…」
ミヤの感嘆が耳に入る
腰に短剣を差した彼女は、どこまであるかも分からない大草原の遠くを見ている
こんな風に外に出る
現実では部屋から出ていない訳だが、私個人としては外に出たという行為に感慨を覚える
本来の私なら日の元にはあまり出る事が出来ない
だから、太陽の下で活動しているという事実と目の前の大草原が私にある種の感動を与える要因となっていた
「これから戦闘のレクチャーをする。まぁ結果何をするにしても、これが外せなくなるからよく覚えとくようにな」