第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
この女性が、ネリー
テスターでありながら多くのプレイヤーに情報を提供した謎多き人物
私達もその情報には―特にボス戦において、助けられている
そんな恩もあってか、私達は快くデータコピーを許した
彼女がネリーを騙っているというなら話は別だが、少なくとも彼女の放つ雰囲気は本物であると言っているように見えた
「感謝しておくわ。これで私が一人でフィールドデータを確認する手間が省けたから」
受け取ったデータに目を通しながら、彼女は感謝を口にした
尤も、全く態度に出ていない感謝だが
しかし、彼女の言を参考にするとどうだ
彼女はアップデート分を一人で確認していた、という事になる
デスマッチになるボス戦はともかく、フィールドデータのアップデートを確認する労力、それでいながら生きていられる生存能力―どれも私達より高い水準の人物だ
(流石はテスター…か)
密かに感心していると、データの確認中のネリーが思い出したかのように口を開いた
「お礼として教えておくわ。もうすぐ私の持ってるデータ、無くなるから」
…………ん?
余りに自然な口調なので一瞬スルーしかけたが、とんでもない事を言った気がする
「あの…もう一回言ってくれます?」
おずおずとミヤが聞いた内容にネリーはもう一度答えた
「貴方達が今まで活用していた私発信のデータ、もうすぐ無くなってサービス終了よ。お陰で私も、後はどうしようかなって」
つまり…もうすぐ全員、手探り状態になると
そういう事であった