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SAOGs

第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"


それからは通ってきた道を引き返す、というやり方で迷宮区の入り口に向けて進んでいた

今だ迷宮区内での戦闘には苦労が付き纏うものの、生き死に関わるレベルではない
そこは七人での連携もあれば、個人が強くなっている部分もある

暫くまた時間はかかったものの、私達は確実に迷宮区の入り口、というか初期出現位置に到着した
身の丈程の大きなクリスタルが光っている
澄んだ青にも見えるそれに触れ、光が私達を包む

次の瞬きが終わった時には、私達は元いた山の頂上―社を背に向けた状態であった
通常、こういう作業の経過は今しがた経験したが一瞬で行われる
故に私達のような移動した側からしてみれば景色が突然変わったという事になり―

「あ…」

―その先に誰かがいれば、その誰かにとって私達は突然現れた事になる

女性プレイヤーだ、しかも一人である
黒くウェーブのかかった髪をポニーテールのように結っている、神秘的な雰囲気の女性だ

まぁしかし、気にする事はないだろう
軽く挨拶してそのまま別れるだけの筈だったが…

「貴方達…この先に何があったか、教えてくれる?」

ややあってからの彼女の言葉に呼び止められていた


「ここの社に二礼二拍手一礼、そうすると迷宮区に転移するんだ」

振り向き、答えた部長の"迷宮区"という言葉に彼女は反応を見せた

「じゃあ貴方達は迷宮区に行ったのね?ボス部屋の前までは行った?」

「まぁ、行ったけど―」

「マップのデータを、コピーさせて頂戴」

それが何か?とでも続けそうな部長の言葉を遮り、女性プレイヤーが部長に詰め寄る
急なその勢いに部長だけでなく、私達もたじろぐ程のものだった

「別に構わないけど、データをどうするつもりなんだ?」

部長の言う当然の疑問に、女性は胸を張って答えた

「他のプレイヤーへの情報として公開するわ。私、情報提供者だから」

この発言に今度は驚いた
情報提供者―現状、それは一人しかいない
つまりこの女性は…

「あぁ、名乗って無かったわね。私はネリー、さっきも言ったけど情報提供者よ」
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