第5章 第1層~第10層 その4 "ここまで"
それから、私達は迷宮区内部をさ迷いながら先を目指した
時折、敵との戦闘―やはり少々数が多いが一匹ずつ釣ったり、時に撤退や迂回をする事で何とか生きていた
休憩を挟みつつ、何階登ったろうか
たまにしか登らない階段の数を忘れて暫くした後、私達は迷宮区にしては単純な一本道に出くわした
この一本道に覚えはある
今まで数度しか通ってはいないが、こればかりは全員はっきり覚えている
この先、終点―ボス部屋である
「キョウヤ、どうする?」
シンジ先輩の問いに部長は少し考え、ゆっくりと答えた
「扉ギリギリまで行こう。開かなければ今の所は問題ない筈だ」
その案に私達は従い、まっすぐに進む
その先にあるのは、やはり今まで幾度か見てきたあの大扉―ボス部屋に繋がる扉である
部長の言った通り、扉の前にいるだけなら何も起きはしない
しかし、私達七人だけではどうにもならないという事実、これまでの四度のボス戦の苛烈な記憶が私達にのしかかっていたのもあり、重苦しい雰囲気を扉だけで醸し出していた
「……帰ろう」
結果私達は何をした訳でもなく、ただ扉を見て帰る事にしたのである