第7章 愛は嵐[R18]
『…何してるんですかアンタ』
後を追って台所に来てみれば、銀さんは冷蔵庫に頭を突っ込んだ状態でしゃがみ込んでいた。
その奇怪な行動に呆れた声を出すと必死な長台詞が返って来る。
「ちょ、お前コッチ来んなよ!絶対来んなよ⁉︎ 振りじゃないからね、マジで来ないでね!銀さん今猛烈に恥ずかしいから!顔とか火を吹く勢いだからねマジで‼︎ あー……もう何が彼女になって下さいだよ、中学生か俺は!イイ歳こいて恥ずかしいにも程があんだよ、石○純一が靴下履くのと同じくらい違和感があんだよォォォ!」
銀さんは冷蔵庫に向かってありったけの照れをブチ撒けると、今度は後ろ向きにひっくり返った。
とても苦しそうに息をしている。
どうやら過呼吸を起こしたようだ。
『ちょっと…っ!大丈夫ですか⁈』
私は手近な所にあったコンビニ袋を掴んで駆け寄った。
口元に当てがって背中をさすってあげると、幾分呼吸が落ち着いたようだ。
「悪ィ……恥ずかしさのあまり取り乱した」
そう言って未だ赤い顔を両手で覆う銀さん。見ないでくれとばかりに頭を垂れている。
普段は飄々としている彼の慌てた姿はなんだかとても可愛くて。
ついつい零れてしまう笑みを抑えることが出来なかった。