第7章 愛は嵐[R18]
「いいか?一度しか言わねェから耳の穴かっぽじって良く聞け」
銀さんはそう言って私の左胸を軽く押した。
それは初めて出会った日に私がした行動とそっくりで。些細なやり取りを覚えてくれていたのかと、何だか嬉しくなる。
「俺は、その、要するに……そうさな…えーっと」
モゴモゴと口の中で何かを言っている銀さん。お酒のせいで赤かった顔が更に紅潮している。
私は時々相槌を打ちながら、拙い言葉を紡ぐ銀さんを見つめていた。
「だからだな…つまり、お前が高杉を気に入ってるとしてもだ……そんなもんは関係ねェ。いつか絶対俺に惚れさせてやる」
『ふーん…鈍感な振りしてる癖にちゃんと気付いてたんだ』
わざと悪戯な視線を投げてみる。
銀さんは困ったように少し視線を泳がせた後、真っ直ぐな眼差しでこう答えた。
「そりゃ、お前…気付くだろ。どんなにドジでノロマな亀でも教官の気持ちには敏感だよ」
『ふふ…何それ』
「るせー……これでも精一杯なの。ギャグのひとつでも言ってないと心臓が破裂しそうなの」
拗ねたように尖らせた唇。
色味の薄いピンクの部分にそっと触れると、銀さんは驚いたように目を丸くした。