第7章 愛は嵐[R18]
此方を見下ろしている銀さんは、何処か寂しげで。髪と同じ色の眉が切なげに歪められている。
『……銀さん?』
「分からねェんだ」
『え…』
「生まれて初めて女を愛した。でも、どうやって愛せばいいのか分からねェんだよ」
銀さんはそこまで言って一旦言葉を切ると、軽く息をついて言葉を紡ぎ出した。
お前は何が欲しい?
俺には何が足りない?
言葉か。
態度か。
どうすりゃお前を笑わせられる。
何を言えばお前は喜んでくれる。
気付きゃ俺の頭ん中は其ればっかりだ。
「…だが、どうしても素直になれねェ」
言葉の最後をそう締め括った銀さんは、私の額に優しいキスを落とす。
空いた口が塞がらずに真紅の瞳を見つめる私。
銀さんはおもむろに人差し指を立てると、私の左胸にそっと突き立てた。