第6章 まさかの桂無双[R18]
Round 8:バスルーム狂想曲2
『たっ、高杉さんの髪をですか⁉︎』
カリスマ厨二エロリストこと高杉晋助は私にある頼み事をした。
洗髪をしてくれ。
短く告げられたその一言に私の心臓は破裂寸前だ。
「あァ…優しく頼む」
高杉さんは言いながらもたげていた頭をバスタブの淵に引っ掛ける。
『で…では、失礼します…!』
ド緊張しながらそっと触れてみると、濃紫の毛髪はイメージ通りの猫っ毛で。どこまでも線の細い殿方だなと胸がキュンとする。
しかし、私はひとつの問題に直面した。
『高杉さん……あの』
どう切り出そう。
そんな思いで重々しく口を開いた私。
すると高杉さんは直ぐさま欲しかった答えをくれた。
「包帯か…? 外せ、お前なら良い」
思った以上の嬉しい言葉にまたひとつ、心が苦しくなる。
なんて素敵な御方。
愛おしい。
もっと触れたい。
喉から言葉の波が溢れ出しそうだ。
『高杉さん』
「んー?」
『……何でもありません』
好き。
たった一言を寸前まで言い掛けて、結局言えなかった。