第6章 まさかの桂無双[R18]
Round 7:バスルーム狂想曲
チャプ…ッ
柔らかな水音が湯気に溶けていく。
モジャ公所有の宇宙船に備えられたバスルームは贅の限りを尽くした代物だった。高杉さん曰くモジャ公は超絶金持ちなんだとか。
「あァ……いい湯だ」
バスタブに両腕を掛けて天を仰ぐ愛しい御方。
濡れた濃紫の髪から滴る雫はまるで宝石のようだ。
「貴女、そこの棚に小さな瓶があるのが分かるか?」
当然のように同じ風呂に入ることを命ぜられた私はシャワーで体の汗を流していた。
高杉さんの言葉通りに視線を動かすと、バスグッズを収納する棚に小さな瓶が置かれている。
繊細な花模様が彫り込まれたガラス瓶。
その中はスケルトンピンクの液体で満たされている。
『……これは』
「遠い星で見つけた代物だ。風呂の湯に入れて使うらしい」
『入浴剤…なんですね』
「あァ、余りに美しい色だったんでな…つい欲しくなった」
高杉さんは異星での旅を思い出すように話しながら額の汗を拭う。
その流れるような手付き。
湯で紅潮している頬。
『(美しい物を愛でる高杉さんに1000点)』
バスルームの湯気にのぼせた私の脳は高杉さんで満たされていた。