第1章 ここから始まる物語[R18]
『は…はにょ、はかたひゃん(あの、坂田さん)?』
「あァ?何だよ」
『ほひんひひはふry (余韻に浸るのも結構ですけどそろそろ離して下さい)』
「駄目。もうちょっと」
いや、そんなに可愛く言ったってダメだから!
私は全力で坂田さんの腕から抜け出して、新鮮な空気を肺一杯に吸い込んだ。
『ぷはっ…は、あ…窒息するかと思った』
「はは、悪い」
『棒読みか!絶対悪いって思ってないでしょアンタ‼︎』
私がそうツッコんだ時だった。
スパーンッと小気味いい音を立てて襖が開いたのだ。姿を現したのはパジャマ姿の女の子、雪のように白い肌をしている。
「きゃっ…きゃぐらちゃん⁉︎ あれ、お前アレ、今日は朝早くから近所のガキと遊びに行ってたんじゃ…!⁉︎」
「寝坊したアル」
「ね、寝坊ってお前…もう昼過ぎだよ、あはは、よく寝てたね〜!寝てたんだよね?そうなんだよね?」
「無問題よ。私は何も見てないネ、銀ちゃんが美人のお客さんとベチョベチョ絡み合ってたの以外は何も見てないアル」
「見てるゥゥゥ!一番見ちゃいけない所を見ちゃってるゥゥゥ‼︎」
顔面蒼白でシャウトする坂田さん。
独特の役割語を語尾に付けて話す女の子は氷のように冷たい目でその銀髪を見下ろしている。
「酢昆布プレミアムリッチエディション30個で手を打ってやるネ。感謝しろよ脳内下半身男が」
「…はい、すんませんでした」