第3章 SPARKIN’![R18]
ギィィィン…ッ‼︎
『⁉︎』
鋼鉄にも似た容貌を見せる化け物の棘が火花を散らして跳ね飛んだ。
大量の血を撒き散らして苦しむそれに止めを刺す侍が一人。
「寝んねの時間だぜ…デカブツ」
男が振り上げた腕は細く、しなやかで。
武士と呼ぶには余りにも艶っぽい背中に見惚れれば、振り向いた隻眼に今度こそ心を奪われた。
「よォ…お嬢さん、怪我はないかィ?ククッ」
『は…っ、はい!ありません!』
変に裏返ってしまう声。
胸の高鳴りは最高潮に達している。
「そりゃ良かったな」
言いながら口だけで笑みを作るお侍様は、金色蝶の刺繍をあしらった着物を召していた。
恐らく女物であろう羽織。
男だというのに何て美しいんだろう。
礼を待つこともせず去ろうとするお侍様を私は思わず呼び止めた。