第2章 欲しがる男達[R18]
「そっ…総悟ォォ!⁉︎」
「一丁前に汚物おっ勃てやがって土方コノヤロー…あんた誰の獲物に手出したか分かってるんですかィ?」
眉を吊り上げて言い放つイケメン隊士。可愛らしいその瞳には怒りの色が浮かんでいる。
「あァ?俺が誰を口説こうが勝手だろうが。万事屋の用心棒にでも成りやがったかテメー」
「馬鹿言いなせェ。そいつは“俺の”獲物だって言ったんでさァ」
私はまたも完全に置いてきぼりだ。
水と油の如く相容れない様子の二人は怖い顔をして睨み合っている。
「つーかお前…どうしてここが分かったんだ?」
「あれれ、嫌だなァ。鬼の副長ともあろう御方が気づいてなかったんですかィ?」
そう言ってイケメン隊士は最新型のスマホを取り出した。
煌々と光る画面には“盗聴アプリ”という怪しげな文字が映し出されている。
「オイィィ!それでも警察官かお前ェェェ‼︎」
己の痴態を職場の人間に聞かれた恥ずかしさで爆発寸前の土方さん。
それを華麗にスルーしたイケメン隊士は指で作った鉄砲を私に向けるとこんな事を言った。
「覚悟しやがれクソビッチ。俺のターンが回って来たら失神するまでやめねェからな」
『!⁉︎』
恐ろしい言葉を残して去って行く毒舌君。
私はその背中に悪魔の羽が生えているのを見た気がした。