第2章 欲しがる男達[R18]
『ただいまー…』
その後、随分と長い買い出しを終えた私はそっと万事屋の玄関を開けた。
直後に銀さんの声が飛んで来る。
「遅い!どんだけ遠くまで酢昆布買いに行ってたんだよお前」
言いながら私を抱き締めた銀さんはお酒の匂いがした。一体どれだけ呑んだらこんな匂いになるんだろう。
「銀さん待ってたんだからね?」
『ご、ごめんなさい…』
「謝らなくていいから“ただいまのチュー”して」
成る程。
どうやら銀さんは甘え上戸らしい。シラフの時は超が付く程の俺様なのに。
私は恥ずかしさを感じながらもその唇にそっとキスをした。
しかし、銀さんは喜ぶ素振りを微塵も見せず…むしろ怒っているように見える。
「…貴女、ちょっとこっち来い」
『え?』
「いいから来いっつってんだろ」
有無を言わさず腕を引っ張られる。
そこに先程までの甘えたな銀さんはいなかった。
連れて行かれた先は寝所。冷たい布団に投げ飛ばされるようにして押し倒された私は恐怖に身を震わせる。
冷徹でサディスティックな、紅色の瞳。
それが私を蔑むようにして見下ろしているのだ。