第10章 最期に贈る言葉
そんな場末の星で事件は起こる。
『……マスター、もう一杯』
寂れた商店街のとある居酒屋。
カウンターに凭れて酒を煽る女が一人。
「貴女ちゃん…ちょいと飲み過ぎなんじゃねェのかい?」
『いい。今日は死ぬまで飲む』
「……毎度」
心配そうな表情のマスターからグラスをもぎ取った貴女は、一気に酒を飲み干してカウンターに突っ伏した。
彼女の首元からは古びた御守りが垂れている。
ふとそれが目に留まったマスターは何と無しに問うてみた。
「そりゃ何だい?随分と年季が入ってるみてェだが……ここらじゃ見ねェ御守りだな」