第2章 欲しがる男達[R18]
「チッ…雑魚共が」
瞬く間に敵を切り倒してしまった黒髪の隊士はそう言って唾を吐いた。
直後、私の存在に気付いたのか此方に歩み寄ってくる。
「すまねェな。驚いただろ…って、またお前か」
隊士は返り血だらけの顔で私を睨んだ。
怖い。
その辺のヤ◯ザなんかよりも余程怖い。
これで本当に警察官なのかこの人。
『いえ…あの、大丈夫です』
「そうか」
言いながら真新しい煙草に火を灯す。
私はライターを持つその手がパックリと切れている事に気が付いた。
『お怪我を…!』
「あ?…チッ、俺もまだまだだな」
『すぐに手当てしないと!』
「いい、こんなもん擦り傷だ。その気遣いだけ貰ってやる」
この人には痛点がないのだろうか。
真っ赤な肉が見える程の大怪我を、眉ひとつ動かさずに見つめている。
『私達の世界ではそれを重傷と言うんです!いいからこっちに来て下さい…!』
私は渋る隊士の腕を強引に引いてコンビニの中に再び身を寄せた。
「あの、じゃあ僕は仕事してますんで…お大事に」
店員に頼み込んで休憩室を貸してもらった私は急いで負傷した隊士を座らせると治療を開始した。
幸い、ここは都会のコンビニだ。
切り傷を治療するのに必要な物は一通り揃っている。
「ほう。見事な腕前だな」
『ええ、まあ…一応看護s』
「ナースだと?」
『だから何でそんな食い気味⁉︎』
「あ…いや、すまん。何でもねェ」