第1章 重ねた影。~私編~
「…ほ、ほら!黒子っち!美海ちゃんと一緒にメニュー見て注文決めるっスよ!」
そう言って黄瀬くんはメニューを私達の前へと出した。
私はそのメニューをじっと見つめた。
「橋本さん。メニューは決まりましたか?」
その声にはっと顔をあげると、
何を考えているかわからない目で"テツくん"は私を見つめた。
「あ…えっと…いちごパフェにしようかな!」
私がそう答えると、
"テツくん"は少し驚いたような顔をした。
「かぶりました。僕もいちごパフェにしようと思ってました。」
「え!?あ、そっか!じゃぁ…私チョコパフェと悩んでたし、やっぱチョコの方にしようかな。」
私が慌ててメニューを変えると、
"テツくん"は小さく笑った。
「僕も、いちごかチョコか悩んでました。気が合いますね。いちごは譲りますよ。僕がチョコにします。」
"テツくん"は笑顔でそう言った。
「いや、悪いからいいよ!私、チョコも食べたかったし…」
「いえ、気にしないでください。」
私達はしばらく譲り合いになった。
そんな状況を見かねたのか、
黄瀬くんが
『食べあいっこすればいいじゃないっスか!』
と言う意見を出し、
私達はようやくメニューを注文できたのだった。