第1章 重ねた影。~私編~
そんなこんなで
私達はファミレスへと向かった。
私は何度もチラチラと『テツくん』を観察した。
が、すぐに目線をはずすと
見つけきれなくなるぐらい存在感のない少年だった。
ファミレスに行く途中、
何度突然後ろから話しかけられ、
心臓が止まりかけたか…。
まさか桃井さんの絶賛する『テツくん』が
こんなに薄い少年だなんて…
ファミレスに到着し、
席に案内される。
「あ!待ってほしいっス!えっと、席は…」
黄瀬くんは何故か、
私達の席を指示しはじめた。
みんな不思議そうな顔をしながら
言われるままに座った。
席は
私 花 桃
【 机 】
黒 黄 青
となった。
「…はぁ。」
思わず溜息が出た。
青峰くんと一番遠い上に、青峰くんの前は桃井さん。
二人はさっそく仲良さ気に夫婦喧嘩のようなものをはじめる。
そんな私を花子は不安気に見つめて居た。
ふと視線を目の前に戻すと、
極薄少年と目が合う。
「っひゃ!」
わかっていたのに驚いてしまった。