第1章 重ねた影。~私編~
桃井さんはキョロキョロと見渡したが、
すぐに絶望のような顔をし、こちらを見た。
「…テツくんは!?」
「ん?テツ?テツならここに…ってあれ?」
青峰くんもキョロキョロしはじめた。
「あぁ、黒子っちならここに…いない…!?」
黄瀬くんも慌しくキョロキョロしはじめた。
花子も、私も辺りを見渡してみるが、
人の気配はない…。
「もしかして…帰っちゃったのかなぁ…?」
私がそう呟くと、
何やら、真後ろから声がした。
"ここに居ますよ。"
ゾクっとして、振り返ると…
『うぎゃー!!!!!』
私の叫び声に全員が体をビクつかせ、
一斉にこちらに視線が集まる。
「…あ。すいません。」
何やらうっすーい少年が腰を抜かした私に
謝りながら手を差し出した。
「あー!!!テツくん居たぁぁぁ!!!」
桃井さんは嬉しそうにその少年に駆け寄った。
「もう!黒子っち!驚かせちゃダメっスよ!」
黄瀬くんがヘラヘラと笑いながらその少年の肩を叩いた。
私は呆然とその少年を見つめて居た。
これが…
噂の…
テツくん!!??