第1章 重ねた影。~私編~
しばらくすると、
桃井さんと花子は息を切らしながらやってきた。
「はう、美海ちゃん…速すぎます…!」
桃井さんはフラフラっとよろめきながら
私の肩にもたれかかった。
「わぁー!ごめんね!大丈夫?」
私がすぐに桃井さんを支えると
青峰くんがすぐに桃井さんの腕を掴んだ。
「おら、さつきー。美海に迷惑かけんなよー。」
「別に迷惑かけてないですよーだ!ねぇ!美海ちゃん!」
桃井さんはベーっと舌を出し、
青峰くんから腕を振り払うと再び私の腕に抱きついた。
そして、小声でコソっと私に聞いた。
「ねぇ、私の髪型、崩れてないですか?」
桃井さんは髪を軽く触りながら、
私を上目遣いで見つめた。
「うん。大丈夫。」
私がそういうと、
桃井さんは嬉しそうに私の腕を離し、
キョロキョロと周りを見渡し始めた。