第1章 重ねた影。~私編~
部活が終わり、
私達は部室へと戻った。
「あ!美海ちゃん!花子ちゃん!お疲れ様です!」
少し遅れて部室にやって来た桃井さんが
私達に笑顔で手を振り駆け寄ってきた。
「おつかれー!」
「おつかれっ!」
私も花子も笑顔で手を振る。
「あのっ!きーちゃんに誘われたんですけど、今日のファミレス会!私も参加していいですか?」
いつもの愛らしい笑顔で桃井さんは私達をじっと見つめる。
「あ…えっと…」
花子は困ったように私を横目でチラっと見た。
「もちろん!行こう!」
私が笑顔でそう答えると、
桃井さんは更に嬉しそうに笑った。
「で、でも!さつきちゃんがこういうのに参加するってめずらしいね!いつも早く帰るじゃん?どうしたの…?」
花子は気をつかっているのか、
遠まわしに理由を探った。
「ふーふーふーん!私のリサーチの結果!今日のファミレス会にはテツくんが来るんです!」
桃井さんは人差し指をビシっと立てて
ドヤ顔をしながらこちらを見た。
「「テ…テツくん…?」」
私達は顔を見合わせて
二人で首を傾げた。
テツくん…
そんな人居たっけ?
人数が多すぎてわからないっていうか…
「ごめん、テツくんって誰?」
私のその問いに桃井さんは『えぇ!』っと大袈裟に驚いた。