第2章 重なる光。~僕編~
人ごみの中、
彼女の名前を叫んで呼んでみたが、
彼女は見つからなかった。
会って、
もう一度、きちんと気持ちを伝えたかった。
そして、
この曖昧な関係にしっかりと終止符を打ちたかった。
閉園のアナウンスが流れる。
端から端までくまなく探したはずだが、
彼女は見つからず、
僕はとぼとぼと
メリーゴーランドの楽しげな音楽と
光に誘われるまま、歩いた。
ふと、求めていた後姿を見つけた。
なんと声をかけて良いかわからず、
僕は適当な言葉を探した。
「遊園地、閉まりますよ。」
僕のその一言に、
彼女はうなだれていた顔をはっと上げ、
振り返った。
その顔が何故だかすごく嬉しそうで、
僕は何故か笑ってしまった。
「いつものように叫ばないんですか?」
僕がそう言って手を差し出すと、
彼女は僕の手をぐっと握った。
嬉しさと同時に
再び胸がギュッと痛んで、
僕は聞きたくもないことを聞いてしまう。
「うまく、行きましたか?」
その問いかけに、彼女は表情を曇らせた。
そして、彼女は頭を下げた。
「今まで本当にごめんなさい…。」
その謝罪の意はすぐに分かった。
それと同時に…
世界が完全に崩壊していくような気持ちになった。
「最初から知っていました。」
僕は頑張って笑顔を作った。
彼女は驚いたように僕を見つめた…。