第1章 重ねた影。~私編~
それから時間になり、
私達は待ち合わせ場所へ向かった。
そこには青峰くんと桃井さんも居た。
「…あ。」
私が小さく声を出すと、
黒子くんは『大丈夫です。』と一言言った。
「わっりぃ!寝坊しちまった!あ、あとさつきも誘ったけどいいよな?」
青峰くんはヘラヘラと笑った。
「はい。」
黒子くんは無表情でそう答えた。
「きゃー!テツくんと遊園地デート!!!」
桃井さんはそう叫ぶと、
黒子くんに抱きついた。
黒子くんもそんな桃井さんを受け入れるように
ぎゅっと抱きしめた。
「・・・!!!」
ズキズキ胸が痛んだ。
「んじゃ、行こうぜ!」
青峰くんが黒子くんの背中を軽く叩くと、
私達は遊園地の中へと歩きはじめた。
中へ入るなり、
黒子くんは桃井さんの手を掴んだ。
「桃井さん。あっちへ行きましょう!」
そう言って黒子くんは早足で歩きはじめた。
「へ!?う、うん!テツくんとならどこでも!」
桃井さんも驚いたようだが、
すぐさまきゃーきゃーと騒ぎながら黒子くんと一緒にどこかへと行ってしまった。
「…あ。」
「あ!おい!テツ!さつき!…あー。行っちまった。」
取り残された私達はポカーンと二人を見つめた。
「まぁ、いいや、行こうぜ!俺ジェットコースター乗りてぇ♪」
「う、うん!」
言われるまま、
私は青峰くんと二人でアトラクションに乗った。
嬉しいはずなのに、
私はなぜだかズキズキと痛む心に
戸惑っていた。