第1章 重ねた影。~私編~
それから私と黒子くんはギクシャクとしたまま
"開校記念日"になった。
待ち合わせ場所に向かうと、
黒子くんが既に立っていた。
「黒子くん!おはよ!」
私が話しかけると、
黒子くんは驚いたように私を見た。
「おはようございます。」
そうして笑顔を見せた。
「青峰くんが少し寝坊をしてしまったらしく、30分遅れるそうなので…少し時間を潰しましょう。」
黒子くんが腕につけた時計を見ながらそう言った。
「うん。わかった。」
私は無意識に彼の手を握ろうと
手を伸ばした。
"パチン"
その手は簡単にはじかれた。
「誤解…されますよ。」
黒子くんはそう言うとどんどん先に歩いて行ってしまった。
「…ごめん。」
分かっていた。
これが当然の反応なのだ。
私達は付き合っていない。
それに私は…
勝手に彼を通して別の男を
見ていた最低の女だ。
でも何故だろう…
心がモヤモヤと陰った。