第1章 重ねた影。~私編~
『橋本さん。僕、あなたの事が好きなんです。』
その言葉に戸惑い、
思わずポカンとしてしまう。
再び通る車のライトで
黒子くんの表情は見えなかった。
でも、私の表情はきっと
彼にはよく見えているのだろう。
そう思うと思わず恥ずかしくなり
顔がみるみる熱くなった。
「きゅ、急に何言ってんの!もー!冗談やめてよ!」
私がそう言って笑うと、
黒子くんは私の手を掴み、自分の胸元に持って行った。
彼の心臓がドキドキと速く速く動いていた。
「嘘じゃないんです。あなたを見るといつだって…胸がドキドキしてしまうんです。」
私の心音もその心音につられるように
速くなっていくのを感じた。
私が彼の顔を見上げたとき、
彼はライトの逆光で真っ黒だった。
あぁ。
これが青峰くんだったら…。
そう思った私は
きっと最低の人間だったんだと思った。