第1章 重ねた影。~私編~
結局、あまり青峰くんと会話できないまま、
ファミレス会はお開きになった。
「じゃ、俺とさつきはこっちだから。」
「美海ちゃん!花子ちゃん!またねー!」
桃井さんと青峰くんは仲良さ気に帰っていく。
「またねー!」
私達はそんな二人を見送った。
花子が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「花子ー。」
私が花子の腕に抱きつこうとすると、
それより先に黄瀬くんが花子の腕を引っ張った。
「ほら、花子ちゃんの家はこっちっスよね!ささ!こっちに帰ろうっス!じゃ!黒子っち!美海ちゃん!またね!」
「う!?は!?ちょ!?黄瀬くん!?」
花子は驚いたような顔をしたまま
黄瀬くんにずるずると引きずられていった。
「…あ。」
私はその場に一人ぽつんと取り残された。
思わず大きく溜息をつき、
自分の帰路へと足を向けた。