第8章 ~謎の人物~
其を聴いた其の者は、顔をしかめた。
小十郎は、其に顔を曇らせた。
「・・・な、何ですか、其の顔は?」
「まさか、其所までお前に信用度が低かったとは・・・兄さんは寂しい!!」
「はい?えっ?ちょっ、なっ!?」
其の者は、ソファーに腰掛ける小十郎に抱き付いた。
小十郎は、其の者の思わぬ行動に動揺した。
「本当は、若様を抱き締めたかったが。」
「なら、離れて下さい。」
「嬉しい癖にィ~♪」
「嬉しく有りません。筵、気持ち悪いです。」
「スキンシップだ、スキンシップ。」
「・・・・・・」
端から見れば、大の大人が、ソファーに腰掛けて抱き合ってる光景は、かなり怪しい光景だった。
小十郎は、己を義弟と呼ぶ人物に抱き締められながらも、携帯画面を気にして居た。
「・・・お前・・・何て送った訳?」
「・・・ん。」
其の者は、小十郎が見せた画面に、溜め息を付いた。
「・・・其じゃあ、返信が来ない訳だ・・・」
「事実だ。嘘は無い。」
小十郎の発言に、又も溜め息を付いた。