第6章 ~涙~
小次郎は其に、笑顔で答えた。
「・・・僕・・・今日から兄さんと同じ高校に通う事に為った、伊達小次郎と云う者です。どうぞ宜しく御願いします、先輩。」
「・・・兄・・・先輩・・・・・・!!」
其を聞いた幸村は、政宗と小次郎を交互に眺めた。
そして、ある事に気付くと政宗の手を掴み
「政宗殿には、弟君が居ったので御座るか?!見分けが着かないで御座るぅ!!」
「・・・大袈裟打な、真田・・・」
はしゃぎながら叫んだ。
其に政宗は、顔を歪ませながら答えた。
学校に到着した政宗は、机に突っ伏して居た。
「・・・伊達・・・大丈夫か?具合が悪いのなら、保健室に行くか?」
「・・・・・・平気・・・」
そんな政宗を見兼ねた元就が、肩を揺すりながら話し掛けた。
政宗は其に、か細い声で答えた。
「・・・なら、此を食べろ。疲れた時には、甘い物だ。」
そう云って元就は、鞄の中から飴を取り出した。
政宗は其を、無言で受け取った。