第5章 ~弟~
「・・・逃げないでよって・・・云ったよね、兄さん?」
「・・・・・・っ!!」
小次郎は、依然として笑って居た。
其の表情は、政宗に取って
「ーーーーーーー・・・っ!!!!」
ー恐怖でしかなかった
「ー政宗?!何が有ったっ?!!」
暫くして、政宗の悲鳴を聴いた小十郎が、叫び声を挙げながら駆け付けた。
打が、政宗の手首を掴む人物の顔を見るなり、小十郎の顔が強張った。
「・・・何で、お前が・・・此所に居るんだ・・・」
「・・・・・・」
小十郎の問い掛けに、小次郎は無言を貫いた。
打が、政宗の手首から滴り堕ちる血を見た瞬間、小十郎の表情が歪み
「・・・テメェ・・・政宗に何をしたあぁぁ・・・っ!!」
「・・・・・・・・・」
小次郎の首元を掴み、怒鳴り吐けた。
其でも小次郎は、何も云わなかった。