第5章 ~弟~
「・・・何も・・・云わねぇ積りか・・・」
「・・・・・・」
小十郎の放つ殺気に、小次郎は無言を貫く。
暫くして小十郎は、小次郎の首元を乱暴に離し、意識の無い政宗を抱き抱えた。
そして、小次郎を睨み付け
「・・・次、政宗に何かしてみろ・・・テメェをぶっ殺す・・・!!」
「・・・・・・」
吐き棄てる様に呟き、其の場を後にした。
其でも小次郎は、何も云わなかった。
小次郎は無言で、爪に着いた血痕を眺めた。
そして、其を
「・・・・・・んっ、」
口に含んだ。
小次郎は、爪に着いた政宗の血を
「・・・あぁ・・・此が、兄さんの味・・・」
床に堕ちた血を、一滴残らず舐め摂った。
「・・・僕達・・・一つに生ったよ、兄さん・・・・・・フフ・・・フフフ・・・」
そして、小次郎の放つ笑い声が
静に、玄関に響いたー